観たぞ!『ゲット・アウト』
本日ご紹介は、斬新な視点で描くスリラー映画の傑作です。
鑑賞日:8月12日
◇一言感想:彼女の実家は、何かがおかしい。良くできた構成と
脚本で描く、新世代スリラーの傑作
◇星4つ:☆☆☆☆ (良い映画に出会えたなぁ)
- まだまだ暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。こんな暑い日は、やっぱり背筋も凍る恐怖映画はいかがでしょう。ゾゾーッとするからきっと涼しくなれますよ。今日ご紹介は、そんなスリラー映画の傑作です。
- まずはじめに。本作はホラー映画ではなくスリラー映画です。予告を見る限り、心霊現象でも起きるのかと思いきや、まったく違う内容でした。ホラー映画もスリラー映画も(恐怖)を定義したジャンルですが、その恐怖性は別物です。ホラーとは幽霊やドラキュラ、クリーチャーや不死の殺人鬼など非人間的なものが題材となっている恐怖を。一方のスリラー映画とはスリルを味あわせることを主題とし緊迫感やクライマックスにおける、冷や冷やするような演出をふんだんに取り込んでいるのが特徴です。
- 本作は、上質なスリラー映画として、日常に潜む違和感と、人種に根差した恐怖をたっぷり味わえます。まあ私はホラーもスリラーも好物なので、お化けちゃんでも良かったですがお化けちゃんは出ません。後述しますがお化けちゃんの代わりにセキネさんは出ます。笑
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- (あらすじ)ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリスは、週末に恋人の白人女性ローズの実家に招待される。彼女の実家では歓待を受けるが、使用人が黒人だけなことに違和感を覚え、庭を走り去る管理人や自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、彼女の家族の進めでパーティーに出席した彼は白人ばかりの参加者の中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り…
- 全米No.1映画批評サイトのRotten Tomatoes(ロッテントマト)で満足度99%という異例の高評価を叩き出し、2018年アカデミー賞脚本賞を受賞した本作。白人社会の中での黒人の孤立という、既視感あるテーマを、こちらの予想を裏切る展開でツイストしてきます。黒人青年を歓待する家族。そして白人主体の地域コミュニティ。表明上は何も問題ないはずが、しかし何かがおかしい…… いやあ。怖くて、そして面白かったです。
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- 監督・脚本はジョーダン・ピール、主演はダニエル・カルーヤ。最近は『ブラック・パンサー』等にも出演する彼ですがちょ!ちょちょっ待てよ の顔はキムタク顔負けですね。そして何といっても友人ロッド役のリル・レル・ハウリーがいい味ですね。不気味な物語の中で本当、救われます。
- さて。本作の見どころはやはりストーリーテリングです。巧みな構成で、物語の確信へと導くクライマックスへの盛り上がり方は、物凄いです。これから楽しまれる方の為にあまりネタバレしません。が、私はケレン味溢れる真相がわかった時は、思わず手を叩くと同時にルパン3世のマモーを思い出してしまいました。マモー、ミモーではありません。念のため
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- 全体を通して、物語の伏線が至るところにあるので、二回見ると細かいところも楽しめますね。私は彼女の父親が『祖父は昔は陸上選手で、黒人に勝てなかった〜』と壁の写真を紹介するシーンでホームズ並みにピーンときましたね。もうピーンとね。ドイツって感じで、誰でも推測しますか。 笑
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- 真面目な話を少しすると。本作のテーマの根底にはアメリカが根底に抱える人種差別問題があります。近年のハリウッドではマイノリティにも配慮され『ムーンライト』等の名作も生まれていますが、まだまだ、問題は根深いようで白人以外の登場人物を白人の俳優が演じる「ホワイトウォッシング」の風潮も残っていますね。(『グレート・ウォール』の主人公がアジア系でなくマット・デイモンだった時は吹き出しましたよ。)本作は、そんな問題に対するアンチテーゼとしても考えさせられる作品でもありました。
- そして。合わせて印象に残ったのが、音楽です。マイケル・エイブルスによる楽曲は黒人による歌唱が際立つような音楽として冒頭のテーマ曲「sikiliza kwa wahana」から耳に残ります。
Brother
Sikiliza kwa wahenga
Brother ♫
ちょうど、前日 兄弟のように親しい先輩と、関根さんという人の話で盛り上がった私は
Brother
セキネサーン!
Brother ♫
関根さーん!!
と聞こえて吹き出しそうになりました。
ええ。実話です。皆さまも聞こえますよね。いやいや。え。え?聞こえるって!
空耳アワーか。笑
- と、観た人を唸らせる作品の本作。最近なかなか、なかった、良質なスリラーです。皆さまも夏の楽しみの一つとして本作で恐怖を味わいませんか。きっと楽しめますよ。
関根さーーーん。
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