観たぞ!『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』

今日ご紹介は、キューバの音楽家たちの美しき生き様を描いた、まるで花束のような1本です。


鑑賞日:7月21日
◇一言感想:誰にでも人生の華は咲く。老ミュージシャン達から人生の大切さを教わる、花のようなドキュメンタリー。
◇星5つ:☆☆☆☆☆ (満点!素晴らしい) 
  • 暑い夏。彼らにまた会う事が出来ました。2000年、私が衝撃と感銘を受けた一本のドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』。音楽プロデューサーでもあるギタリスト、ライ・クーダーとキューバの老ミュージシャン達(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)との交流、演奏を中心に、彼らの歴史や彼らが住むキューバという国の日常を描いた作品は、情熱と哀愁ある音楽と合わせて、世界中に素敵な風を吹かせてくれました。
  • 前作から18年。その最高の続編であるのが本作『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』。カーネギーでコンサートを行った前作の後、彼らはどうなったのか。その本音や成功後の道のりを、貴重な映像や未公開映像とともに綴ります。
  • (あらすじ)アメリカの偉大なギタリスト、ライ・クーダーがキューバでセッションした地元の老ミュージシャンたちに声をかけて結成されたビッグバンド「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。97年にリリースされた彼らのアルバムは世界的に大きな注目を集め、グラミー賞を受賞した。本作は、グループによるステージでの活動に終止符を打つと決めた彼らの「アディオス(さよなら)」世界ツアーを追うとともに、彼らのプロとしてのキャリアの浮き沈みや人生感について密着していく。

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  • ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブとはアメリカのギタリスト、ライ・クーダーとキューバの老ミュージシャンらで結成されたバンドです。キューバに実在した会員制の音楽クラブの名前が、そのまま彼らのバンド名にもなっています。
  • 彼らを語るにあたり、まずキューバという国と、そこに根付く伝統の音楽ソンの歴史的背景が挙げられます。カリブ海の真珠と言われ、豊かな海と自然に恵まれた国キューバ。そんなキューバで生まれた伝統音楽(ソン)は国と人の想いをのせた文化の象徴です。

ああ。キューバ行きたい。

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  • (ソン)は、世界的に市民権を得た音楽サルサ(広い意味でダンスも含む)のリズムの元と言われ、20世紀はじめごろにキューバ東部で生まれたといわれています。以来キューバの国民の心の一部でしたが、1969年カストロとチェ・ゲバラにより革命が行われた以後、キューバではアメリカとキューバの国交が断絶し、(ソン)を始めとするキューバ音楽との交流も絶たれてしまいます。
  • 本作にも登場する、キューバの素晴らしいボーカリストであるイブライム・フェレール。ソンを生業にしていた彼が、革命以後に生活苦から靴磨きをしていたというのは、キューバの音楽シーンを象徴するような話であります。青い空、海、そして色鮮やかなクラッシックカー、本作で写し出される美しい街並みのキューバの情景の奥には、厳しい歴史に翻弄されながらも、そこで生き抜く人々の息吹がリアルに感じられたのでした。
ああ!キューバ行きたい。ラム飲みたい。
  • ブエナビスタソシアルクラブのメンバーは皆、現地キューバの老ミュージシャン達です。ボーカル&ギターを担当する90歳越えのコンパイ・セグンド、黄金の声の持ち主イブライム・フェレール、ヒロインにして映画を撮りたいとヴェンダース監督にいわしめる美声オマール・ポルトゥオンド。天才ピアニストのルーベン。音楽の楽園の中、太陽と風で育った総勢20名を超えるメンバーは、齢70を超えてもとても魅力的です。

『人生で大切なものは、女と花とロマンス。』
『俺は遅咲きだったが、誰にでも人生の花は咲くよ。』

  • 当時で、齢80歳を超えていたコンパイ・セグンド。本作で振り返る、彼が残した言葉の数々は、私の人生観に深く刺さります。そうそう。メンバーとの音合わせの時のセグントには笑いました。セグンドは「年寄り扱いするな。そっちの音がウソなんだ、機械で調弦するから」と語気を荒げたり、『俺は70年音楽を弾いてるから正しい。」と言われた事に対して「俺は90年弾いてる!」と返したりして、絶対勝てねー格好いい、お爺さん。彼らのように格好良く歳を刻みたいと、心から思います。

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格好いいとはこういう事だ:作画310

ああ!!キューバ行きたい。ラム飲みたい。踊りたい。

  • 数奇な運命に導かれた、遅咲きの彼ら。国を愛し、人生を謳歌し、全てに愛を注ぐ姿に胸をうたれます。そして、高齢が故に、避けて通れない、メンバーとの別れ。セグントが、ルーベンが旅だって行きます。病の体を推しながら命ある限り、ステージに立つブエナ・ビスタのミュージシャンたち。その最後の姿は過去の栄光ではなく、いまの彼らを照らす光として凛と、映し出します。
  • 最も印象的だったのがリードボーカルのイブライムと長年彼を知るオマーラ。イブライムの死を追悼した彼女のライブのシーンでは、涙が出てしまいました。
  • 主要メンバーの仕事、意思を継いで行われるアディオス(さよなら)ツアー。孫のメンバーも迎えいれながら、彼らは世界中に情熱と文化を届けます。その姿はついに国交の制限があったアメリカ を動かし、ホワイトハウス内でのライブにまで至り、感動的なライヴ・シーンとなっていました。

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  • 老いてなお情熱や艶やかさを失わない、ブエナビスタソシアルクラブのメンバー。音楽の女神に愛された彼らが、歴史に向き合い世界を動かして行く姿を、追った本作は、とても素晴らしい作品です。

暑い夏。最高のラムを飲み、彼らの音楽を聴きながら彼らに敬意を表したいですね。

あーーーーー!!!!キューバ行きたい 笑

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