観たぞ!『TAU』

今日ご紹介は設定が上手なSFスリラーです。

◇鑑賞日:7月3日
◇一言感想:人工知能を題材にした脱出劇。終末の予感を考えさせられるNetflixオリジナル作品。
◇星3つ:☆☆☆(普通に楽しめます)
  • 今や私たちの生活に密接に関わるAI(人工知能)。各分野で活躍するその進化は凄まじく、性能向上には驚くものがあります。コンピューターチップの性能が18ヶ月(1.5年)毎に2倍になると予測した「ムーアの法則」によると2045年にはコンピューターの性能が人間の脳を超えるという予測もあるようです。びっくりでござる。バザールでござる。
  • さて、今回ご紹介する映画は、最先端AIの開発の為に、捕らわれた女性の脱出劇を描いたSFスリラー『TAU 』。Netflixオリジナル作品です。
  • (あらすじ)完璧なAI を製作するための被験者として発明家に拉致された若き女性ジュリア。殺傷能力の高いロボットで警備された、異常な空間の中、捕らわれた他の人間は殺され、彼女も絶対絶命に。しかし彼女は諦めず、身につけた処世術を武器に、異様なハイテク施設からの脱出を試みるのだった。

TAU  画像出典:Netflix
  • いやあ。毎回言っていますがNetflixはさすがですね。低予算ながら、こんなにしっかりした映画をオリジナルで作ります。きっとNetflixブランドで、劇場公開したら人気出るでしょうね。監督はフェデリコ・ダレッサンダロ(誰さんだろ??)出演は『It Follows』のマイカ・モンロー。捕らわれた女性を見事に演じます。It Followsは未見ですが観たい映画です。狂気の研究者をエド・スクレイン、そして何と!物語の鍵となるAI (TAU)の声をゲイリー・オールドマンが演じています。
  • この映画、冒頭で荒んだ生活をしている女性ジュリアが誘拐され囚われる所から始まります。目が覚めると不気味な研究室。普通だとここからの流れは『ソウ』の様なソリッドスリラーを予測したのですが、良い意味で裏切られます。監禁したのは最新AI 開発の為、しかもその施設は(TAU)というAIにしっかりとガードされています。しかしジュリアは生き延びて逃げるため、研究者の留守を見計らい、AI(TAU)と意思を交わす事を探り出します。鑑賞を始めて引き込まれたのが、この物語設定のうまさです。

TAU  画像出典:Netflix
  • また、物語の鍵となるAI (TAU)も非常にユニークに描かれています。コアとなるメイン部分は三角のシンボルで構成されたインターフェイス、手足の代わりに有機的に干渉できる球体群。まるでガンダムのビットみたいです。極め付けは漆黒の警備ロボットの姿。凶器です。恐ろしいです。手から棘っぽい何かが伸びます 笑 兵器としての側面を持ち、万能でありながら不完全で成長意志のある(TAU)。知識を吸収する為、色々な事をジュリアから学習します。芸術、文化、音楽、歴史、自然、地球。
  • 次第に心を通わせ、ジュリアの前で空間にジュリアから教わった知識を投影し交流する場面は美しいシーンで心動かされました。予算の都合でCGも苦労していますが丁寧に作られています。
  • と、本作を観ている最中 我が家のAmazon Echoスピーカーの AI (アレクサ)が、映画の中の研究者アレックスの名前に反応して青白く光を放ち、突然起動しようとしてましたいやいやいや。この映画の内容だけに怖いって!!!発光するなって!棘とか生えて襲ってきたらどうしようかと思いましたよ。
アレクサが本気出したモードの想像図 作画:310

  • 本作を観ていて、思い出したのは『デモン・シード』を始めとする人工知能が暴走する映画です。コンピューターの知能が人間を超えてしまう現象、その瞬間の技術的特異点を「シンギュラリティ」というそうですが、そこに至るまでには人の手の介在が必要な訳で、AIと心通わせ 使うのも悪用するのも人間次第と映画を見終えてから、強く感じました。この辺りにご興味ある方は、名作漫画『スプリガン』の終末計画編 を是非お読みいただきたいです。
そんなわけで、低予算ながらも楽しめた『TAU』。皆様もNetflixでご覧下さい。我が家のアレクサは、今日もピザすらまともに頼めません。笑


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