観たぞ!『ノー・エスケープ自由への国境』

今日ご紹介は、緊張感最高!!掘り出し物のサバイバルスリラーです。

◇鑑賞日:11月3日
◇一言感想:こんなはずじゃ、なかった。砂漠の国境で繰り広げる緊張の88分。極限の逃走劇を描く至高のスリラー。
◇星4つ:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎(いい映画に出会えたなぁ)
  • 世界的ヒット作、宇宙空間での密室緊張劇『ゼロ・グラビティ』は大変楽しめる作品でした。私も大好きな映画の一つです。今日ご紹介は、『ゼロ・グラビティ』の製作スタッフが放つ極限のサバイバル・スリラーです。メキシコ国境の砂漠という限定空間で展開される緊張感は、息をのむほど。低予算かつ目立たない映画でありますが、スリラー映画として良くできた掘り出し物の1本です。
  • (あらすじ)アメリカへの不法入国を試みるメキシコ移民たちが謎の襲撃者に襲われ、極限状態に追い込まれる姿を描いたサバイバルスリラー。メキシコとアメリカの間に広がる砂漠の国境地帯。モイセスら15人の不法移民たちは自由を求め、国境を越えようとしていた。そこへ突如として銃弾が撃ち込まれ、仲間が犠牲になってしまう。摂氏50度という過酷な状況の中、水分も武器も通信手段も持たない彼らは、生き残りをかけて壮絶な逃走劇を繰り広げる。
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  • いやぁ、掘り出し物でした。手に汗握る88分を堪能できました。製作として、衝撃の物語を描き出したのは、アカデミー賞7部門受賞作「ゼロ・グラビティ」の監督アルフォンソ・キュアロンと、その息子で共同脚本を手掛けたホナス・キュアロンの親子。8年前の「ゼロ・グラビティ」よりも先に脚本が生まれていたという本作は、同作の原点とも言える作品ですね。宇宙から、砂漠に舞台を移しながらも単なるスリラーにとどまらない上質な作品として完成されています。主演は、メキシコを代表する世界的スター、「バベル」のガエル・ガルシア・ベルナルが主人公モイセスを演じ、モイセスを執ように追う襲撃者サム役を、「ウォーキング・デッド」最新シーズンの悪役として注目を集めるジェフリー・ディーン・モーガンが演じています。この主演2人の演技が、緊張感あふれる物語を盛り上げています。
  • 低予算ながら、緊張が持続するのは、さすがの物語の上手さ。メキシコ国境の砂漠という広大な限定空間を舞台に、死と隣り合わせの自然と、執拗な襲撃者の追っ手から逃げ切らねばならないという極限のサバイバルが描かれているからです。自由の国、アメリカを求めて国境を越える集団を襲う突然の凶弾。襲撃者は高性能のライフルを持ち、狩猟犬を連れながら襲い来る。この映画で久しぶりに狩猟犬の恐ろしさを感じました。ワンワンは怒らせると怖いです。砂漠なので、遮るものは岩や植物のみ。身を出すと射撃される恐怖。舞台や主演を限定しひたすら主題のスリラーに特化することで、中だるみの無い、緊張感を生み出しています。この広大な砂漠でのかくれんぼがとてもスリリングで、あまりネタバレはしませんが、主人公モーセスの持つある備品が、砂漠で音を出した時は、思わず手で口を覆ってしまいました。


  • 「メキシコ国境の安全を確保するべく物理的な壁をただちに建設、充分な人員による監視を行い、不法移民、違法薬物・人身の売買、テロ行為を未然に防ぐ」──これは、第45代米大統領となったトランプが発令し、世界中で物議をかもした大統領令からの抜粋です。排外主義を進めるトランプ政権によって、移民対策が進められる本作の舞台のメキシコ国境。今日もこの国境で、何かの事件が起こっているかと思うと、悲しくなると同時に、現在の国際情勢について考えることができました。登場人物の一人が言う「アメリカに行った方が安全だからと言われたのに、まさか。こんなことになるなんて」というセリフは本作を体現すると同時に、とても意味深いものがあります。
  • 本作は、美しい朝焼けの静かなロングショットから始まります。砂漠に広がる岩、植物と広がる青空。物語の緊迫感とともに、荒涼とした風景ながら壮大さを感じる景観をも感じることができます。限定空間として一切の無駄を省き、自然しかない砂漠が舞台になっているのも極限状態をうまく形成する要素だと感じました。余談ですが、わたくしはるか昔に当時勤めていた会社の研修でウォークラリーで筑波まで50km、1昼夜かけて歩いたことがあるのですが、その道中たるやバテバテでございましたからね。この広大な砂漠の逃亡なんて絶対に無理です。ええ、まず無理。(苦笑
  • 緊張感、満載で掘り出し物の本作ですが、1点だけ笑ってしまうポイントが。クライマックス、襲撃者と主人公が大きな岩を起点にぐるぐると岩の周りを追いかけっこ。この情景を、位置関係を分かりやすくするため俯瞰からのロングショットで撮ったりしているわけなんですが、どう見てもドリフの「志村、後ろ後ろ!」コントを思い出してしまい、笑ってしまいました。まぁ、外国の人にドリフの笑の詩吟はわからないと思うので、あくまでも私がツボっただけですがね。(笑)
  • と、いうわけで低予算ながらも緊張感あふれる本作。観始めたら止まらずに、手に汗握る88分を堪能できます。皆様も是非、御覧ください。
「志村、後ろ後ろ!」(笑)



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