観たぞ!『ミッドナイト・ファミリー』
試写レビュー。本日ご紹介は、世界中で高評価のドキュメンタリー作品です。
◇鑑賞日:2020年11月28日
◇一言感想:家族の稼業は救急搬送。スリリングな日常を通して、命の倫理も描く圧巻のドキュメンタリー。
(2021年1月15日公開予)
◇星5つ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎(いい映画に出会えたなぁ)
Madegood.films配給『ミッドナイト・ファミリー』 |
- 年末も近づくなか、
素晴らしいドキュメンタリー映画に出会いました。 試写をありがとうございます。2021年1月に公開されMadegood. filmsさん配給の『ミッドナイト・ファミリー』。 メキシコシティで民間救急隊を営むオチョア家族の姿に密着しらメ キシコの医療問題に迫る圧巻のドキュメンタリーです。
- (あらすじ)メキシコシティで営利目的の救急隊を営むオチョア家族。
同業の救急救命士らと競い合って急患の搬送にあたっている。 この熾烈なビジネスで生計を立てるため、 オチョア家族は救急医療を求める患者から何とか日銭を稼ごうと奮 闘する。しかし汚職警官による闇営業の取り締りが厳しくなり、 私営救急事業の正式な認可を得なければならない事態に。 必要な救急医療サービスを提供しているにもかかわらず、 オチョア家族は金銭的に追い詰められ、 状況は問題をはらんでゆく。
Madegood.films配給『ミッドナイト・ファミリー』 |
- いやぁ、見応えある作品でした。この映画を観るにあたり、まずはメキシコの医療問題について。
メキシコの首都メキシコシティでは人口900万人に対し公的救急 車はたった45台!そのため、 専門訓練もほとんどなく認可も得ていない営利目的の救急隊という ビジネスが生まれています。本作のオチョア家族も、 そんな民間救急医療を生業とする一家。本作は、 彼ら家族の日常を通してメキシコが抱える医療事情、 行政機能の停滞、 救命医療の責務と収入のジレンマといった課題に迫ります。
- まずは圧倒されたのが、
アクション映画と見まがう程のスリリングな緊迫感。夜のメキシコシティの喧騒、緊急患者発生の一報。 スピードある視点で事件を描きますが、本作は、 ノンフィクション。 街を彩るサイレンの赤色や患者が流す血のリアルも現実なのです。 この緊迫感には思わず息を飲みます。
- そして、主人公であるオチョア家族の生き方。民間とはいえビジネスである救命救急。他の救急車とスピードを競いながら現場に駆けつけ、救命移送を行っても患者が、搬送費用を支払えない場合もしばしば。さらには違法性につけこまれ、警察官にワイロを要求され、彼ら自身の日々の生活もままなりません。それでも彼らは笑うのです。それでも彼らは患者に寄り添うのです。
どんな仕事にも理由があるから』 と。
日本では、2021年1月16日から
東京ユーロスペース - ヘッド館
神奈横浜シネマリン
- そんな過酷な仕事で一家を養う父ホアン。
不良でもしっかりもののフェル兄、 食いしん坊でも誇りある弟ホセ。 ともすれば重く暗くなりがちな作品トーンですがオチョア家族の陽 気さと、前向きなたくましさに笑みが出てしまいます。
- 本作で提示されるメキシコの医療問題。
その内包する命の倫理観や制約、貧困問題を考えると、 コロナ禍における我が国の対応や日本の医療問題に、 つい想いを馳せてしまいます。まさに、今。 世界がコロナと闘ういまだからこそ見るべき作品だと感じるのです 。
その鋭い切り口で、サンダンス映画祭で米国ドキュメンタリー特別審査員賞を受賞したほか
米アカデミー長編ドキュメンタリー賞のショートリストに選出された本作。
日本では、2021年1月16日から
東京ユーロスペース - ヘッド館
神奈横浜シネマリン
さんなどで公開されます。
皆さまもぜひこの良質なドキュメンタリーを通し、 世界の医療現場のリアルを考えて見てください。ではでは。
『右へ寄れ!通してくれ。 ケガ人はあんたの家族かも知れないんだぞ!』
皆さまもぜひこの良質なドキュメンタリーを通し、
『右へ寄れ!通してくれ。
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